平成18年6月20日グラン・レコ関西版掲載、同年8月18日インターネット版
新・田舎暮らし大学


高齢者が健康で豊かに暮らすために「新・田舎暮らし大学」に迫る

港で注目を集める「田舎暮らし」は、まだまだ模索しなければならない点がある。
それは経済性しかり、社会との関係性しかりである。
真の意味で価値ある田舎暮らしを実現にはどうすればよいのか。
それを考えるキッカケづくりを行っているという「新・田舎暮らし大学」に迫った。

 もう間もなく、大量の団塊世代が定年退職を迎える。これにより、日本は世界中見渡しても経験のない超高齢社会へと突入する。各世代別に比較すると、人口の大部分が60代以上で占められることになる。

 「社会の主役は60代」という時代の到来を控えたそんな今、巷では団塊世代に対して「田舎暮らし」を薦める声が溢れている。悠々自適に、思いのままに田舎で時を過ごす。社会組織の中で懸命に生きてきた世代にとっては、それは確かに理想の生活かもしれない。しかし、田舎暮らしは本当に快適なものなのだろうか。ある統計データによると、団塊世代の大半が老後に経済的な不安を抱え、社会との継続した関係性をキープしたいと願っていることが示されている。“老後も収入を得つつ、社会と何らかの関わりを保ち、生涯現役で暮らしたい”。データからは、そんな団塊世代の本音が聞こえてくる気がしてならない。

  趣味や自由自適な生活のみを追求していては、田舎暮らしは経済的にも社会的にも厳しい状況になってしまうことが想像される。田舎暮らしを実現したい1人1人が、真の意味で満足できる田舎暮らしのありかたを模索する必要がある。

 そんな中「新しい高齢者文化の創造」を考え、都会人が真の意味で田舎に住むための心配を解消することを目的に、13年間活動している組織がある。その名は「新・田舎暮らし大学」。5月に法人格を取得し、現在は京都本校を約1万坪のキャンパスに210室の教室や学宿施設を設けたものへと改装中で、9月の開校を目指している。また、自分なりの田舎暮らしを考えるキッカケづくりとしてのセミナーを全国各地でも開催している。


田舎暮らし前の心の準備で不安解消と楽しみの発見を…

「田舎暮らしをはじめたい。でもいったい何をどう始めたらいいのかわからない」。そうした思いを抱える参加者のために、300区画以上の分譲他での田舎暮らしを前提に田舎暮らし全体を考えるキッカケを作ってもらうことを目的としたセミナーである。

 会場には、夫婦で来場している参加者が多数見られた。定年後の田舎暮らしはやはり夫婦で手を取り合って、と考えていらっしゃる方が非常に多い。会場ではまず「新・田舎暮らし大学」の小川学長によるメッセージが…「田舎暮らしでは、経済面に大きな不安を抱く方が多いでしょう。私は老後の収入源を確保し、田舎暮らしを安心して楽しめる提案をしております。好奇心を持ち、とにかく動くことで、さまざまな活路が開けて来ますよ」。小川学長の気さくなしゃべり口調に、参加者の中からは時折笑い声があがり、会場内は非常にやわらかな雰囲気に満ちていました。

 この日は参加者向けにさまざまな体験教室が催され、参加者は自分で好きな趣味の教室に顔を出し、自由に参加できるという仕組みになっています。(左から順に、わらじ作り教室、陶芸ペイント教室、社交ダンス教室)早速、各教室に参加されている方々の声を聞いてみました。

陶器ペイント教室 − 時折笑い声も混じる終始和やかな雰囲気−

 陶器ペイント教室では、約50名ほどの参加者が、出来合いの陶器製オカリナに思い思いの色をペイントしていた。こうしたイベントでは、面識のないもの同士が同じテーブルで作業をするため、初対面の人と会話が弾むのが特徴。田舎暮らしではこれまでに自分の住み慣れた世界とは別の舞台で生活をするわけで、こうした「初対面の人との出会い」は田舎暮らしの事前練習にも十分なりえるのである。実際、参加者の中には、知らない人と出会えることを楽しみにしている、という声も多かった。教室では時折「こらーえらい色になったわー(笑)」と1人が声をあげ、皆が笑うという和やかな空気に満ちていて、参加者にとっては非常にフレンドリーな体験になっていたようだ。

角野くきさん・角野四郎さん
「セミナーには新聞広告を見て参加しました。田舎暮らしにはいろいろと準備があるのでまだまだこれからというところですが、こうしたセミナーには気軽な気持ちで参加しています。」

橋本加之子さん・橋本正行さん
「今年11月に退職予定です。セミナーに通い出してから今日で10回目ぐらい。田舎暮らしにはとっても興味がありますね。排気ガスの臭いのない、奇麗な土地に住みたいと願っています。 小島瑞枝さん・小島鴻作さん 「卓球のスポーツ指導員として、地域でボランティアをやりながら、趣味の魚釣りなども楽しんでいます。これから徐々に 田舎暮らしを本格化させていきたいと思っていますよ。」

社交ダンス教室 −初心者にも丁寧な手ほどき中には衣装持参の参加者も−

 広い会議室スペースを使って行われたのが社交ダンス教室。先述の陶器ペイントもそうだが、見知らぬもの同士が直接手を取り合う社交ダンスは、新しい仲間を作るのにこれ以上ないものだ。イベントでは社交ダンスの経験の豊富な人から全くの初心者に至までが、先生の手ほどきを受けながら思い思いに手を取り、ダンスに興じる姿が多数見受けられた。この社交ダンス教室に何度も通っているという参加者は、しっかり自前の衣装も持参するなどの熱の入れよう。嬉々として踊る素の姿は実に楽しそうだった。

瓜本信子さん
「ダンスは2年前から始めました。ダンスを始めて、以前より健康管理やファッションに気を使うようになり、自分でも若返ったな!と思えます。田舎暮らしはこれからの目標。小川学長のように、素敵な田舎暮らしをしたいですね。」


田舎暮らしは「W」で始まる

ハーレーに跨がり、ファッションモデルもこなし、陶芸や薫製も手がける。
「新・田舎暮らし大学」の小川好之学長は、新しい高齢者文化のアイコンともいえる存在だ。

<PROFILE>「新・田舎暮らし大学」学長 小川好之
1934年、京都府生まれ。学長として全国各地でセミナーを行いながら、陶芸や薫製づくり、草蛙づくりなど、多くの教室で生徒の指導にあたっている。また、ファッションデザイナー山本寛斎さんのショーにモデルとして出演するなど、実に多彩な顔を持つ。

人生はずっと青春時代のようなもの

 愛車のハーレーにまたがり、颯爽と現れた小川学長。学長という肩書きが窮屈に思えるほどのアクティブな姿である。「ぼくは若い頃からずっと青春時代を送っているような気がします(笑)。ぼくは、自分で望むことは何とか形にしたいと思うタイプで、田舎暮らしもそのひとつでした。50代前半には田舎に家と土地を購入して、週末にはそこで暮らすという生活を始めたんですよ」。

田舎暮らしに不可欠なのは「W」の考え方

 田舎暮らしに欠かせない要素とは何だろうか。「今の世の中は、与えられることに慣れすぎでいる人が多い。セミナーでバーベキューをやると、お皿を持って待っている参加者がいる。でも田舎暮らしは全部自分でやらなきゃだめなんです。失敗を恐れずに、何から何まで自分でやるからこそ、初めて田舎暮らしの醍醐味は感じられるもの。どこで(WHERE)、誰が(WHO)、何を(WHAT)どうしているのか。ひとつのひつの「W」に対して好奇心を持ち、自分でやってみることが、「新・田舎暮らし大学」で学ぶすべての基本です。

「半農半X」で経済的な不安を解消を

 田舎暮らしでの大きな不安は経済面。小川学長は、「半農半X(農業を営みつつ、別の収入源Xを確保した生活)」を基本にすべき、と説く。「それには自ら学ぶこと大事です。自らのXを見出すために積極的に学び、安心して田舎暮らしを送れるようにしてほしいですね」。

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